サイケデリック [psychedelic]──現代デザイン辞典

サイケデリック [psychedelic]

原色でチカチカした、目に痛い何か。そんな作品そのものを形容する場合もあるし、君ってサイケデリックだね、なんて言って、頭の中身を指す場合もある。
だが事典によると、「リアリーは1965年『サイケデリック体験』で、マリファナやLSDによるトリップと瞑想体験をつづり、ベトナム戦争に直面し、現実逃避するアメリカの若者に指示された」……って、この語句にまつわる、そんなエピソードが? 全くの初耳であった私は早速、このあたりを調べてみた。そしたらまあ、面白いネタが出てくる出てくる。
どうやらこのティモシー・リアリーという学者、ハーバード大学で幻覚剤の研究をしてみたり、自身の運営するホテルで客相手にLSDによるセッションを開催してみたりと、アグレッシブにやばい人物であるということが分かった。極めつけは、彼の死後。切断した頭部のみを冷凍保存。その後、宇宙葬。この生き様、まさにサイケデリックとしか言いようがない。
問題のLSD、残念ながら我が国では麻薬に指定されている。しかしその昔、LSDというタイトルのプレイステーション用のゲームが発売されており、幻覚って、『サイケデリック体験』って、こんな感じなんだろうか……という感覚を体験することは可能だ。そのゲームは、夢の中を歩き回っているような摩訶不思議で不気味なグラフィックにオブジェクト、目に痛い配色、意味不明なストーリーと、頭が痛くなる要素の全てが総動員されているもので、まさにLSDという名を冠するに相応しい。
サイケデリックはどちらかと言うとアートの分野に属する語句だと思っていた私は、麻薬に端を発するものだとは思っても見なかった。そして、LSDへの好奇心は先述のゲームをプレイすることで大方は満たされていたが、リアリーというトチ狂った学者がこれだけご執心していた薬物となると、新たな興味も沸いてきてしまうではないか。現代デザイン事典、罪深い。